バンクシー展に行ってきました。
今までバンクシーの印象はシュレッダー事件が大きく、
(オークション落札直後にバンクシー自身が額に仕込んだシュレッダーによって作品が細断された。)
あのオークションの映像をニュースで見たとき、とんでもないアートが生まれた。マルセル・デュシャンで終わったと思った現代アートが再び動き出したと思いました。これは今の時代を代表する作品になると思いました。時代の変化とともにアートも変わり続けるんですね。
しかし、それ以外にバンクシーについて深く知らず、どんな意図があって顔も出さずに神出鬼没で落書きしているのか考えもしませんでした。
今回、知れば知るほど共感できることが多く、自分を知ることにもなりました。
バンクシーの作品はグラフィティと言われ、落書きとの区別がつきにくく場所によっては軽犯罪法、器物損壊罪に該当しかねない。合法か非合法かグレーだ。それにも関わらず人を惹きつける。
これから何をするのか楽しみです。
2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が全長760kmも建設され、バンクシーはその分離壁や周辺に9つの壁画を残しました。
これはそのうちの1枚で火炎瓶を投げるのではなく花束をという平和を願うものでした。これを描くとき、イスラエル兵に銃口を向けられながら描いた命がけのアートでした。
ベトナム戦争時代、反戦運動でペンタゴンを包囲したヒッピーが銃口を向けられた時に、その銃口にカーネーションを差してムーブメントになったフラワーパワーを連想します。
分離壁の側にあるホテルは「世界一眺めの悪いホテル」と言われているようですが、バンクシーの絵が見える今は、ある意味「世界一眺めの良いホテル」と言えるかも知れません。
その他、湾岸戦争の反戦の意を込めた個展では牛、豚、羊にスプレーでペインティングして展示。7日間の予定が逮捕状が出たので3日間で閉鎖。
個展の部屋に生きた象にペインティングして展示した。「問題があっても、誰もその問題について触れようとしない」という英語の慣用句「Elephant in the room」をもじった。貧困などの重要な問題に目を向けて欲しいという作品。
MOMAやメトロポリタン美術館などニューヨークの複数の美術館に自身の作品を無断展示した。(6日間気づかれなかった)
数々の問題作を生み出しますが、これらにはセンスがあるな~と感心します。僕は湾岸戦争が起こりそうな時、ブッシュさんにやめるようにホワイトハウスに電話しました。やはり本人には届かず、東京タワーに登ってNO WARの横断幕を掲げようか一晩悩んだことがありました。。家族に迷惑がかかるから無理だとすぐに思いとどまりましたが。そんなセンスの無い無謀なことしか思い浮かばなかった。その時はアートで表現するなんて思いも寄らなかった。だからバンクシーのセンスの良さと思い切った行動力には圧倒されました。考え尽くしてデザインされた行動にも見えるけど、衝動的にも見える。どうしてそんな信念が生まれたのか知りたい。
もっと紹介したい作品がありますが、あとは実際に会場でご覧ください。
(会場 高岡市美術館)